先日、久々の東京都写真美術館。
http://imakoko.cinemacafe.net/
公開前からずっと見たかった、
写真家エドワード・バーティンスキーさんのドキュメントフィルム。
ランドスケープ写真の一種、でもちょっと特殊な、
マニュファクチャード・ランドスケープなるもの、
いわゆる産業風景の写真なのです。
彼の撮る写真は「自然な風景」ではなく「不自然な風景」。
でもそれは人により変えられた地球の今の自然風景。
彼に主張はない。それが主張だな、とも思う。
だからこそ現実を目の当たりにさせられることになり、
見たものは考えざるを得ない思いをすることになるのかな、と。
そういった客観的立場を貫いて撮り続けてきた彼が目を向けたのは、
爆発的進化を遂げる中国のいま。
特にこのフィルムは、中国の現状を客観的に捉えており、
その果てしない風景に圧倒されて目が離せませんでした。
かつて先進国が築き上げてた産業進化は、人々に飽食の富を与え、
一方で現在地球に色んな悪影響を及ぼしており、
エコだ何だと消費社会の破滅を感じずにはいられない昨今ですが、
中国の産業進化はまだ始まったばかり。
しかし、規模が大きすぎる。。
地球史上これまでにない規模の発展。
工場の現場で淡々と作られ続ける物の数々。
日々の生活を少しでも楽にできればいい状態で雇用されている人々が、
時代の行く先が見えないまま作り続けなければいけない現実。
地球規模の危機の認識は皆無。
そこでの人は部品の一部という風景。
そして増え続けて溢れ続けるもの。 回ってしまって雪だるま式?
もう止まれない怖さ。
この先に何があるのか。
世界の工場、中国はもう止まれなのだろうか。。
目の前にあるものが、何でもかんでもMADE IN CHINAなのが分かった気がします…
やばいです、中国。。
そして、わたくしも贅沢と無駄に溺れて
おいしい思いを当然のことと育てられた世代の一人ですが、
これが限界であって、反対の苦労は今後否めないのだろうな、
と確信してしまうのでした。
知らず知らず生きているけど、がまんを知らないというこわさ。
どこまで地球にやさしい生活に戻ってゆけるのだろう…
人は一度手にしたエゴなおいしさをどこまで手放してゆけるのかな。。
それともいいとこどりが間に合うのだろうか。。
もともとあんまりエコだなんだと積極的なことができていない私。
それでもさすがに最近、飽食の時代に疑問と不安を感じておりましたが、
そんなところで見るとこのフィルム、うーーーん、効きます。
議論より、現実を多くの人が知ること、
意識を共有することがまずの一歩なんだろうなあと思った。
まさに「いまここにある風景」を認識することでしょうか
地球に完全にいい人になることはできないけど、
気にしすぎたら生きていけないけど、
気にしないと未来はないな。。と思ったのでした…
そして単純に、圧倒的、非日常的な風景が好きなのでおもしろかった。
工場の中が何キロあるの?っていう。。
流れに流れる作業と終わりが見えない人とものの風景…やはり圧巻です。
そのほか、チリの銅山、バングラデシュの船舶解体現場などの風景も衝撃。
工場とか巨大建築系好きな人、おすすめです。
驚くほどの規模であることがわかるように狙って大判カメラで捉えた風景は、
ビデオカメラがフェードアウトしていくとその迫力が一層際立ちます。
残酷なのに、なぜか美しく見えてしまう。
目が離せなくなる写真の力は、本当にすごい。
こんどは、写真展でじっくり見てみたいと思ったのでした。
おすすめです。