2009年9月28日月曜日

越後妻有トリエンナーレ

この初秋、半年前には雪がまだ残っていたあの地へ、
再び訪れました。

前回の様子

越後妻有トリエンナーレ
http://www.echigo-tsumari.jp/2009autumn/

こちらは、新潟のいくつもの町が連携して
世界中から招いた現代アーティストによる作品を展示するという
3年に一度のイベントであり、非常に興味深い試みです。
越後妻有地域の760Km2、300点以上というその規模たるや、
国内でも稀な大きなイベントです。

行ったのは最終日とその前日。

さすがに全部を見るのは無理なので、 気になる箇所だけ大急ぎで回りました。

以下わたしの琴線に触れたもので写真OKだったものをダイジェストでご紹介。




ベネッセの廃校プロジェクトにて。
各教室にさまざまな作品あり。
こちらは大切な人の思い出の一着の服が解かれています。


かと思ったら当時の思い出が詰まるお部屋に
生徒や先生のものなどもあったり…




もちろんまつだいのセンターへも足を運びました。

前回は雪で見ることのできなかった作品も野外にいろいろ。





センター内ではちょうどクモの巣コレクターの方の展示が!
(蜘蛛の学会の人だそうです)
クモは大嫌いですが神秘的な蜘蛛の巣は昔から興味があったので夢中に。
ぜんぶ、採取したものですって!




ラッカースプレーを吹きかけたのちボードを貼り付け、そうっと採取するそうです。
この方…蜘蛛の天敵ですね。。

それにしても美。どれも一枚の絵のよう。
糸のラインと間合いの緊張感がなんとも美しいです。


下はコメ型ケースに米をつめて販売するという作品。



米粒の形のかわいさにはこれまた昔から注目していたので、
ほんと売り切れで残念というか無念!




次。
小高い小山の上の城までも作品化。
これがまたすごい。というかひどい。(これも褒め言葉!)





一見何の変哲もない普通の小さなお城。

しかし入ると…









ひーーーゴールド!!

ずーーーとずーーーーっとひたすらゴールド!
Sisterのアニバーサリー等々でお世話になっているト○ンプルームを思い出しました。
(→これですな

よく見ると生活雑貨などがめちゃめちゃにくっついてて
金色のスプレーで隙間なく塗られているではありませんか!

天守閣もこんなことに…



あわわ

よく見ると
↓左に注目!  どこまで本当ですか??!!




いやーすごかった。。
こういう執念感じる半端ない作品っていいです。


通りかかった道端には何十体ものかかしの作品が。
そのひとつ、やたら完成度が高い!
思わずパチリ。



めっちゃカメラ目線。




こちら思わずBOYを思い出した重厚な鉄の施設にて。





中では昆虫採集家の方のコレクション展示が。
YUMIちゃんの話を思い出しました。





外を走ればどこもすっかり実りの秋!金色の風景が美しい!




そんな中突如出現する作品の非日常感がおもしろい。



海外のアーティスト宅を
緯度経度まんま日本に持ってくるとこんなハチャメチャな角度になるそうです。
ちなみに鳥居はデフォルトですが作品ぽく見えてるのもおもしろい。



空き家がファンタスティックに光学迷彩。中も鏡の世界!




こちらの空き家は塩田千春さんが紡いでいてCANDYのかさいさんを思い出したり…





そして、今回一番見たかった作品はこれ。
会場が廃校全体を使ったクリスチャン・ボルタンスキーさんの作品。



↑作品の雰囲気に対して入口がゆるくて個人的にちょっとツボでした。

場の雰囲気を生かしつつ一層異様な世界へ変化させた廊下。
遠く換気扇が回ることで遮られては刺す光に瞳孔が狂わされます。



非常灯すら効果的に空間の一部へ。



そんな廊下を抜けると真っ暗な体育館へ。

目が慣れるとぼんやりと見えてくる不思議な光景。
カメラで長い時間露光しないと撮れないくらいの闇。



いつも彼の作品は生と死をテーマとしています。
生と死、といった小難しい話題より私は、
彼の作り出すインスタレーションによる場の雰囲気が単純に好きです。
なんとも言えないのですが、光と影から作り出す
こころを遠くへ連れて行かれるようなあの雰囲気。
新鮮であってどこか懐かしいような。

出会いは小学生か中学生か、教科書に載っていたのが記憶の始まりで、
その後東京で展示があったときに何度か見たことがありますが、
久々にこの空間に身を投じることができうれしかったのでした






長くなってきました…

最後に… お伝えしたかったことまとめ!

そもそも「現代アート」というものに疑いというか、先入観を持っていしまっている私です。
言葉自体でげんなりしてしまうというか、テンションが下がるというか…
飽和した東京で見慣れてしまったのか、
何を以って「アート」と言ってしまうかは非常に難しい問題だと思っています。

何でも「アート」ということは簡単で、
自分でも思いついたり簡単にできてしまいそうなものまで
そう呼んだりすることには昔から抵抗を感じており、
この度も正直作家や作品自体に興味があったものはほんの一握りでした。
(自分の好みは別として、もちろん素晴らしい作品はたくさんあります!
ので誤解のなきよう…)

そんなlowテンションな私がこのイベントに興味を持ったのは、
前回訪れた際のブログでも書いたように、
この場所でのプロジェクト自体に興味を惹かれたからです。
その憶測は前回訪れたことでより強固になり、
今回再訪したことで確固たる新たな学びへとつながったのでした。



この一大プロジェクトでは、
アートというテーマを通して、
人と人とのつながりの重要さをしっかりと見せてくれました。
それは普段、日々の生活ではなかなか意識できないものでもあります。

作品は地域と都市、アーティストと里山、若者とお年寄りの交流と協働の中から生まれています。
田んぼや空家、廃校を使った作品たちは
さまざまな角度から土地を、はたまた人を見せてくれました。

作品自体で完結しない、
その周りをつなぐさまざまなものが関わり合って存在しているということが、
どの作品からも強く弱く伝わってきました。

このプロジェクトそのものこそアートであって、
それを超えるものでもあると深く実感。

それは土地の空気を感じれば分かります。
あんなに不便で(すみません)自然に囲まれた奥地であるのに、
町全体がどこも明るい印象でした。
過疎化が進む暗い町はたくさん見ましたが、
明るい地方はめずらしいのではないでしょうか。

こんなイベントがあったことで、
普段出会うはずもなかったアーティストと地域の方との関わりは、
国境を超え、個人的な付き合いなども生まれていると聞きます。
(とある民家で寝食を共にした海外アーティストが、人々とともに作品を作り、その家の人々がこんどはアーティストの住む海外へ招かれる、といったこともあったそうです!)
これこそ、このプロジェクトがもたらした本当の意味で豊かなつながりだと思いました。

そんなことを感じさせてくれたこのイベント、感謝の気持ちでいっぱいです。

アートでもなんでも、力のある場所ってやっぱりおもしろいし発見がある。
普段と違う場所に身を置くことで、見えないことも見えてきたりする。
最終的には、自分との対話の時間でもあると思います。
そんな引力に導かれ気の赴くまま、
世界へ、自分へ興味が尽きない私、やっぱり見聞はやめられません。

来年は瀬戸内海でも似たような試みがあるそうで…

瀬戸内海国際芸術祭2010
http://setouchi-artfest.jp/

行くかどうかはまだ分かりませんが、
直島のこの銭湯だけはいつか絶対行きたいなあ~

大竹伸朗さんのはちゃめちゃな銭湯「I♥湯」