2009年4月27日月曜日

まつだいを想う

春もうららかさを増し初夏を思わせる今日この頃。
いかがお過ごしですか?

東京がもうすぐ桜、と騒ぐ先月の三連休、
そこではまだ雪から少し春が姿を現し始めたばかりでした。




新潟にある松代という農村。
山深くデンデン畑に囲まれた場所で、
奥ゆかしい日本の伝統を守る暮らしぶりが美しい風景です。

そんなのどかな雰囲気とは裏腹に、
先鋭的なアートの試みがクールでずっと行きたかった場所でした。

実は今回は、大した目的もなく
主に福島~新潟~群馬~長野~山梨、とドライブしまくった休日だったのですが、
ふらり新潟に来たので思い出し、急きょ行ってみた場所が「松代」


まつだい雪国農耕文化村センター
http://www.noubutai.com/

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ
http://www.echigo-tsumari.jp/




棚田が広がる山間に突如出現するアート空間。
その中心基地、まつだい雪国農耕文化村センター内は、
TOKYOに戻ったような感覚で「あれ?」ってなりました。

周辺は雪で行けない場所だらけだったため
今回はセンターのみ軽く見学だったのですが…

--センターのようす--

黒板の教室。らくがき自在。





机の中がパソコン状態!アーカイブがかわいくって。
タッチパネルだがユーザビリティもよく完成度が高い!
生き物から祭りやくらし、料理など村の自然と文化がつまっていて素晴らしい出来。



どこから入ってきたか分からなくなる仕掛けのキテレツカラーなトイレ

 


空色のカフェ。外には美しい川。

テーブルがミラー仕様で空も鳥も入り込む。



カフェのレシピは地のものを利用した素敵なメニュー。
こんなところにもこだわりが。



オリジナルレシピのジンジャーエールとお汁粉で一息。いいお味。


そのほかにも何やらありました…





場所によって変わる不思議な形の建築。





この建物も相当不思議なのですが、、


何がすごいって、そもそもの、この村と周辺地域をあげてのプロジェクト。


日本の、昔からの伝統のくらし×世界のアーティストによるアート
というすんごい斬新な試み。
それで地域活性って。。

始まった当時、「?!こんな場所で??」とびっくりしつつ
すぐ行けなくてもどかしかったのを覚えています。
現場で一体何が起きているの?と。


すべてこの美しい大地、「農舞台」をテーマとした作品群。

そしていろんな場所に風景の1エッセンスとして溶け込む作品たち。



理想論はいかほどのものでも誰にでも簡単に説けるけれど、
実際に動かしていくほど大変で難しいものはない。

社会経験まだ10年にも満たない私ですが、(ヘイトはやっと三年目!)
数々の大プロジェクトが絵空事となり消えていく様は何度も目撃しており
大きくなればなるほど、人も関わり、利害も発生し、
ひとつの事を運ぶ難しさと地道な人の力を目の当たりにして参りました。

数年、数十年、一世紀先を見越したこれほどに壮大なプロジェクトを、
着実に実践しつづけている関係者の皆様の真摯な姿勢と努力には、
まったく以って敬服です。本当に頭が下がります。

何より美しい土地と伝統、それに対する思いの深さに、感動しました。
総合コーディネーターである北川フラムさんの言葉は、重くて深い。

日本を支える米どころであるこの地は、
遥か昔、日本に辿りついた縄文人からの米づくりの歴史と労があり
日本人の原点の一つとして、
いま農業を捨ててきた日本が見直すべくものであるとしています。

異質な文化からやってくる様々なアーティスト達が土地を学び
地域と共同で作り上げているプロジェクトであり、
そのお互いの努力があってこそ存在し得るものなのです。

確固たる理念に基づいて、それを動かしていく力の結集。

土地と伝統と人々のことを考え抜いた様々な結果は、
点だったものがつながり線となって形となりやっと現れここにあります。
その思考と試行は多くの知恵とノウハウに溢れており、
アイディアを形にしていくものごと一つ一つの難しさや努力の賜物であって、
それらすべてが含まれて作品であって、
それって人間文化の財産でもあると思うのです。

ちょっと大袈裟に聞こえるかも知れませんが。。
思いを形にしていく大切さ、心より、同感です。

美しい風景をそのままに、
その美しさが場を無視した押しつけがましいものではなく、
一層美しくあるように、
農舞台と人々のくらしをよりよい次元の発展へと導く、
そんな思いに溢れている場所。

この限られた土地である地球で生きていく以上
少なからずそうした意識と努力が必要だと感じますし、
そのモデルケースの一つともとれます

日本人の培ってきた農業の原点に対する意識
そして個人の利益や富が目的ではなく
自然との調和を大切に、よりよい、美しい地域発展を志すこと
また、前述したとおり
そのビジョンへと叡知を尽くして努力していく姿勢

大きな学びをこの場所から得たのでした。
わたしも日々そのような意識をあたまの片隅に、
そして日々大切に生活し仕事をしていきたいな、と思った次第です。





何年も前になんとなく興味を持って買ったものの
ビジュアルを眺めただけで自宅に保管されていた一冊の本。
まつだい雪国農耕文化村センターのお土産コーナーで再会。はっとなる。

このプロジェクトと建築についての本であり、
オランダの建築家集団MVRDVによるものだったことを思い出す。

日本では、2007年のGYREが確か二件目で、そのとき話題に。
展覧会などもやってたような。(行けなかったのですが)
表参道の、CHANELBVLGARIが入っているあのビルです。


家に帰ってからさっそく熟読。
雪の厳しい環境で、いかに耐久性があり美しいものを作るか。
彼らの過去の事例とノウハウからヒントを得た
「特殊」かつ「普遍」という相反するものが共存している不思議な形に、
理解が深まったのでした。


彼らの他の建築もいろいろ紹介されていて興味深い。
発想と実現、いずれも一言では表現し難いかっこいい建築ばかり。


ちなみに今年は三年に一度、トリエンナーレの年。
ふたたび訪れたいな。こんどはじっくりと。

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ
http://www.echigo-tsumari.jp/






さてドライブはドライブで色々すごかったので、
またの機会にお伝えできたらな~と思います☆