2010年6月11日金曜日

はやぶさ君

お久しぶりです。明日香です。


私が最近大注目しているもの、それは『はやぶさ君』です!


何を隠そう、はやぶさ君は小惑星探査機。

2003年に打ち上げられ、日曜6/13ついに!!!
実に7年ぶりに地球に帰還するんですよ~~~~!!!

最近はニュースでも頻繁に取り上げられていたので、
さすがにご存知の方も多いのではないでしょうか。

惑星探査機のくせになぜ「君」などついているのか??
そしてなぜ私がこんなに夢中で猛烈に感動しているのか?!

そう思ったそこのあなた、涙なくては語れない感動のストーリーがあるんですっ!
ということでかなり長いですが聞いてください…!



そもそも私がはやぶさ君に夢中になったきっかけは、
ひょんなことから数ヶ月前にプラネタリウムに行ったことにさかのぼります。

小学生以来だったプラネタリウムで、JAXAのはやぶさムービーを見ました。

プラネタリウム特有の、自分が宇宙にいるような重力感覚の惑う中、
ノンフィクションであることが不思議なほど多くの困難を乗り越えたはやぶさ君の話に、
圧倒されすっかり感化されてしまった訳です。


このプロジェクトを大雑把に説明すると、太陽系の成り立ちを調べるために、
遠い昔の状態から変化していないとされる小惑星イトカワのサンプルを持ち帰って
調べることを目的としています。
その目的の他にも、新しい実験が色々盛り込まれていたのですが、
いずれも初めは世界中から無理、と思われていたプロジェクトでした。




はやぶさ君は自分で考えて判断できるロボット的探査機。

一人地球から遠く離れて、
地球と通信が途絶えた間も自分でがんばって判断して動きます。

単純に、地球が回っているので角度により通信が途絶える時間があったり、
イトカワが遠すぎて小さな信号でさえ数十分のタイムラグで届いたり、
運用自体いろいろ過酷。

加えて、トラブルに見舞われ通信が途絶え、
奇跡的に数ヵ月後、信号が届いたということもありました。

その間、必死に自分で判断して姿勢を立て直していた、
なんてことがログから分かったようですが、遠い宇宙で一人でがんばって、エライ…

そんなこんな、多くの困難を乗り越え、数々の世界初を成し遂げ
ついに地球に戻ってきます!

地球のJAXAの運用チームと二人三脚でやってきた7年間。
ただの機械以上の働きをし、愛着を持って、
多くの人にはやぶさ君と呼ばれるゆえんです。




月以外の惑星で離着陸すること自体、世界初で、
行ったそのままの姿で戻ってくるなんてことも初らしいですし、
もちろん太陽系の謎をひも解く調査結果の数々の発見もあり、
理学的にも工学的にも、いろいろいろいろ…!


それらがどれだけすごいって、科学誌「サイエンス」への論文掲載を独占して
編集長自ら言葉を寄せてしまったという異例な事態もあったそうで…
=これって映画でいうならアカデミー賞総なめ、オリンピックならメダル独占って感じだそうです。


何がすごいって、一番すごいのは、不可能を可能にした開発・運用チームの皆さん!
チーム一丸となった人の力のすごさを見せつけられ、感動したのでした。


少ない予算、限られた条件、といった、大変恵まれない状況で開発され、
打ち上げてからも次々に襲いかかる過酷極まりない状況の数々…。

これは長すぎてマニアック過ぎるので省きますが、
実際どの困難もほんと半端なく無茶!!な状況ばかりで、
普通だったら絶望するような状態、
世界中から何度も無理と思われた状況ばかりでした。

そんな逆境をすべて乗り越えやり遂げてしまったということで
知れば知るほど、本当にすごくて、人の力の本質を見た気がします。
可能性とかそういうもの、どんな状況でもあきらめないで模索する、
そんなプロジェクトチームが、本当にすごいんです。



なぜそこまでのことができてしまったのか??

そんな疑問を持っていたころ読み始めた一冊の本から、
それを理解することができました。



志高く力強い、どこまでもあきらめない、
不可能を可能にした日本が世界に誇れるプロジェクトチーム。
その組織力って、一体ぜんたい何なの?!と思っていたら、
話は半世紀ちょっと前の日本の宇宙開発の夜明けからたどって始まりました。
すべての本筋は、その歴史の上に積み上がっているものであることも分かりました。


すべては、はやぶさ君が行ってきた惑星の名前にもなっている「イトカワ」、
日本のロケット宇宙開発の父とも言われる糸川氏から始まっています。



半世紀ちょっと前、
歴史の中では、常に多くの制約がつきまとっていました。

世界情勢もしかり。
国内での政治的制約もしかり。

しかし、どんな不利な状況であろうと、
いつの時代も結果は平等に評価されてしまいます。


科学では一番がすべて。
銀メダルはありません。


アメリカなどの先進国が色々先にはじめてしまった中、
日本が模索していける道は?
戦後、国内でも兵器開発と混同され制約された中、できたことは?

日本の宇宙開発が、低予算で小型、
観測目的という路線として第一線で発展してきたことは、
その制約から模索され見出された生き残りの道でもありました。

常に多くの制限、逆境、困難ばかりだった中、
逆転の発想で現実から模索していった糸川氏、
この人がなかったら、日本は宇宙開発をしていなかったと言われます。




すべて、ゼロからの開発。


前例はないから参考にできることはなく、真似もできない。
調査はしても、新しい方向性を見出すためであって、真似はしない。
自ら作り上げる力。

いつの時代のどんな状況においても、これほど強いものはないと思います。


その精神が、いまも受け継がれ息づいている組織力。
これは事実世界中から評価されており、これこそ日本の底力だと思いました。

役割分担され書類で進む宇宙開発ではなく、
現場の人間が横断的に幅広い範囲をカバーしながら一丸となって進めるチームなのです。

本来の日本人の強さ、組織力って、こういうことなんだろうな、と思います。

これって、よく昨今「失われた」と巷で表現されている、
ちょっと前に人気番組でもあった「プロジェクトX」的な、
私の世代の日本人がなかなか体験してこなかったそれだと思ったのでした。




どんな状況においても、最大限、可能性を見出して最高を目指して努力することの大切さ、
チームみんながその認識のもと動くのって大事だな、と
私も日々仕事をしながら思ったりします。

そんなことを教えてもらいつつ実感できる環境に感謝しつつ、
はやぶさ君を想いつつ、
自ら作り上げていく力を育てたい、そんな今日このごろです。





しかし…重大な悲しい事実がひとつ。。


はやぶさ君は、大気圏突入で燃え尽きる予定なんです…!!  オー!ノー!


はやぶさ君は大変かしこい探査機です。

地球のプロジェクトチームと二人三脚で、
お互い考えて動かしてきた、まさに人機一体となって7年もやってきた存在です。

イモみたいな小さな惑星をせっせと調査したはやぶさ君…
通信が切れてさまよった間も一人考えて体制を立て直しがんばったはやぶさ君…
宇宙の厳しい環境の中、相当ぼろぼろになって壊れながら帰ってきてるはやぶさ君…

燃え尽きてしまうと思うとほんとに切ないのです。。


ということで、帰還おめでとう!の半面、悲しい気持ちの今日この頃…
プロジェクトチームの方が毎日寄せる言葉からも目が離せません。
燃え尽きたのちは、オーストラリアの砂漠にサンプルカプセルを落とす予定なので
それまでどきどきしながら見守り中です。



プラネタリウムや本も、ノンフィクションなのにすごいドラマチック!
単純に知識だけではない生きる上での感動や発見があって、おすすめです!



ああ はやぶさ君、あとすこし、がんばれ~~~~~~~!!!!!